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【網羅する地理】日本の農業①-米づくり〈一問一答プリント付き〉

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 さて、今回から「日本の農業」について学んでいきましょう。

 日本の農業を学ぶとき、まず最初におさえておきたいのが米づくりです。
米は昔から日本人の主食であり、今でも日本の農業を考えるうえで中心になる作物です。

 そのため、中学受験でも、米づくりはとてもよく出題されます。

 とはいえ、単に「新潟県で多い」「東北地方でさかん」と覚えるだけでは、すぐに忘れてしまいます。大切なのは、

・なぜ日本で米づくりが発達したのか
・どこで多く作られているのか
・どんな品種があり、どんな作業をするのか
・どんな課題や政策があるのか

を、ひとつの”流れ”としてつかむことです。
要は、「暗記科目」として学ぶのではなく、「因果関係を把握して理解しながら学ぶ」ということが重要ということです。

 というわけで今回は、日本の農業の第1回として「米づくり」をていねいに整理していきましょう!


なぜ日本では米づくりがさかんなのか

 日本は米づくりが盛んだと言われますが、それはなぜでしょう?
それを知るためには、まずは「米」がどんな作物なのかを理解する必要があります。

 米は、をたくさん必要とする作物です。
そのため、雨が多く、水を確保しやすい土地に向いています。

 日本は、夏に雨が多く、川も多い国です。さらに山地が多いため、山に降った雨が川となって平野へ流れこみます。こうした自然条件がそろっていたので、日本では水田をつくりやすく、米づくりが広く発達しました。

 つまり、

日本は雨が多い
水を集めやすい
 →水田をつくりやすい
  →米づくりが発達する
   →日本は米づくりが盛ん

という流れで考えると、とても分かりやすいです。


米づくりはどこで多いのか

 さて、米づくりが盛んな日本ですが、米づくりは日本各地で行われています。

 その中でも、特に生産量が多いのは東北地方です。
令和6年産の水稲収穫量では、東北6県の合計が209万1,000トンで、全国の約28%を占めています。つまり、東北地方だけで日本の米の4分の1以上を生産しているのです。

 また、都道府県別で見ると、令和6年産で最も生産量が多いのは新潟県で、62万2,800トンです。2位が北海道、3位以下に秋田県・宮城県・福島県・山形県が続きます。中学受験では「米どころ」といえばまず新潟県、そして東北地方を思い浮かべられるようにしておくと強いです。


なぜ東北や新潟で米づくりがさかんなのか

 では、なぜ米づくりが盛んなのは東北地方なのでしょうか?

 これには主に3つの理由があります。

1つ目は、広い平野があること
2つ目は、川の水を利用しやすいこと
3つ目は、品種改良や栽培技術が進歩したことです。

 たとえば新潟県には越後平野が広がり、大きな田んぼをつくりやすい条件があります。東北地方にも広い平野が多く、まとまった水田で効率よく米づくりができます。また、寒い地域でも育ちやすい品種や栽培技術が発達したことで、東北や北海道でも安定しておいしい米が作られるようになりました。


米づくりがさかんな平野に注目しよう

 前章で新潟県の「越後平野」が出てきましたが、米づくりにおいて「平野」というのは非常に重要で、米づくりが盛んな平野はしっかりと押さえておきたいところです。越後平野以外でも特に覚えておきたいのが、宮城県の仙台平野山形県の庄内平野です。

 宮城県では、北上川が流れる仙台平野に広い水田が広がっており、現在はひとめぼれの栽培が非常に盛んです。令和6年産の宮城県のうるち米では、ひとめぼれが県内作付の71.5%を占めています。(一方、宮城県を代表する品種として長く知られてきたササニシキは8.1%となっています。)

 また、山形県の庄内平野は日本海に面した大きな平野で、ここには日本三大急流のひとつである最上川が流れています。豊かな水と広い平野に恵まれているため、昔から米づくりがさかんです。


どんな品種の米が多いのか

 以上のとおり、日本では米づくりが非常に盛んです。そのため、米にもたくさんの品種があります。(中学受験では、品種名そのものが問われることもありますし、「どの地域でどんな品種が多いか」が出ることもあります。)

 令和6年産のうるち米の作付割合上位10品種は、次の通りです。

1位:コシヒカリ 
2位:ひとめぼれ 
3位:ヒノヒカリ 
4位:あきたこまち
5位:ななつぼし 
6位:はえぬき  
7位:まっしぐら 
8位:ゆめぴりか 
9位:きぬむすめ 
10位:キヌヒカリ 

 ここで大切なのは、「品種名をただ暗記する」だけではなく、コシヒカリは新潟県、ひとめぼれは宮城県・岩手県・福島県、ななつぼしやゆめぴりかは北海道、というように、品種と産地を結びつけて覚えることです。そうすると、地図問題や資料問題にも強くなります。


米づくりの一年の流れ

 米づくりは、一年を通していくつもの作業があります。

 まず田植えの前に行う大事な作業が代かきです。これは、田んぼに水を入れ、土を砕いて平らにする作業のことです。田んぼを平らにしておくことで、水が均等に行きわたり、苗を植えやすくなります。

 その後、苗を植える田植えを行い、夏には水の管理や病害虫への対策をしながら稲を育てます。秋になると、いよいよ稲刈りです。現在では、コンバインという農業機械を使って、稲刈りと脱穀を同時に行うことが多くなっています。昔に比べて作業の手間が大きく減り、少ない人数でも広い田んぼを管理しやすくなりました。

流れをまとめると、

代かき
田植え
生育・管理
稲刈り
脱穀・精米

となります。


棚田とは何か

 米づくりは広い平野だけで行われるわけではありません。
山の多い日本では、山の斜面や谷間の傾斜地に階段状につくられた水田でも米づくりが行われます。これを棚田といいます。千枚田という名前で呼ばれることもあります。

 棚田は景色が美しいことで有名ですが、実はそれだけではありません。水をたくわえたり、土砂くずれを防いだりする役割もあります。ただし、平野の田んぼに比べると機械を使いにくく、維持に手間がかかるため、守っていくことが大きな課題になっています。


米づくりと政策―減反と転作

 米づくりを学ぶときには、自然条件だけでなく、政策も重要です。

 日本では、米が余り気味になったため、1971年から本格的に生産調整が始まりました。これは一般に減反と呼ばれる政策です。そして平成30年、つまり2018年産から行政による生産数量目標の配分が廃止されました。長く続いた減反政策は、需要に応じた生産へ見直される流れの中で大きく転換したのです。

 この減反に関連してよく出る言葉が転作です。転作とは、水田で米ではなく、麦・大豆・飼料作物など、ほかの作物を作ることです。水田をそのまま使いながら、需要のある別の作物へ切りかえる考え方だと理解するとよいでしょう。


日本は米を輸入しているのか

 これまで見てきた通り、日本は米づくりが盛んです。ではここでひとつ質問です。

「日本は米をたくさん作っていますが、海外から輸入もしていますか?」

 答えは、「輸入もしている」

 農林水産省の資料では、MA米の主な輸入先国としてアメリカ、タイ、オーストラリア、中国などが示されています。したがって、東南アジアにある国で、日本が米の輸入先としておさえておきたい国のひとつはタイです。

 また、現在の制度では、国家貿易とは別に、民間による枠外輸入もあり、その場合は**高い関税(341円/kg)**がかかります。つまり、制度上は「高い関税を払えば輸入できる」仕組みになっていて、数量そのものを一律にゼロにしているわけではありません。中学受験では細かい制度の名前よりも、日本は米を守るために高い関税をかけているという点をまずおさえるとよいです。


米づくりがかかえる課題

 米づくりは日本の代表的な農業ですが、課題もあります。

 主な課題は、米の消費量が長い目で見ると減っていること、そして農家の高齢化や担い手不足です。だからこそ、広い農地をまとめて使ったり、機械化を進めたり、需要に合った米やほかの作物へ切りかえたりする工夫が求められています。農林水産省も、2018年以降は需要に応じた多様な米の生産や、水田を活用した麦・大豆・米粉用米などへの転換を重視しています。


中学受験でここをおさえよう

 米づくりでまず大事なのは、米は水を多く必要とする作物だということです。
そこから、日本の気候や川、平野とのつながりが見えてきます。

 次に、産地としては
東北地方が全国の4分の1以上を占めること
都道府県別では新潟県がトップであること
この2つをしっかり覚えましょう。

 さらに、
コシヒカリ・ひとめぼれ・あきたこまち・ななつぼしなどの品種、
代かき・田植え・稲刈り・コンバインなどの作業、
減反・転作・棚田といった言葉も重要です。

 社会は、単語をバラバラに暗記するより、
なぜそうなるのか
どことどこがつながっているのか
を意識して学ぶと、ずっと忘れにくくなります。


まとめ

 米づくりは、日本の農業の基本です。
日本の自然条件、広い平野、川の水、品種改良、機械化、そして政策まで、たくさんのことがつながって成り立っています。

 今回のポイントを最後にまとめると、

 日本は雨が多く、水田をつくりやすいため、米づくりが発達した。
東北地方は全国の米生産量の4分の1以上を占める大産地である。
2024年の統計では、新潟県が都道府県別で米の生産量1位である。
宮城県の平野部では、かつてササニシキが有名で、現在はひとめぼれが主力である。
庄内平野では最上川の水を生かして米づくりがさかんである。
代かき、田植え、稲刈り、コンバインなど、作業の流れも重要である。
減反や転作、輸入と関税、棚田も中学受験ではよく出る。

ということになります。